はじめに

好き嫌いは別として、酸化していようが、ブショネあろうが、それがそのボトルの固有の特徴です。酸化の進んだワインでも、ブショネでも、”そのボトルの歴史を味わう”ということは”ワインを楽しむ”ことかもしれません。

ここでは良い悪いは抜きにして元の味わいを保つことを前提にご紹介します。

ワインやお酒の変質や劣化を導くものは、

開栓前:

  1. ブショネ:細菌感染したコルクの細菌と塩素の反応による腐食
  2. 温度: 20℃以上の高温、また温度変化 (膨張・収縮の発生)
  3. 湿度管理 (コルクワインの場合): 60-80%前後(カーブでは13℃で湿度70%前後)
  4. 振動:

 

開栓後:

  1. 温度: 20℃以上の高温、また温度変化 (膨張・収縮の発生)
  2. 細菌混入: 手で触ったキャップ、またキャップなしで放置した場合の落下菌(1時間で100個以上)
  3.  ボトル内のガス:酸素による酸化、二酸化炭素の溶け込みによる苦みの増加
  4. 振動:
  5. サーバーを使用している場合は流路系の汚染(臭い・異物(汚れ・細菌)の付着)

冷蔵庫の出し入れは温度変化と振動をもたらしますので注意が必要です。

 

(1) ブショネ、(2) 温度管理、(3) 細菌混入、(4) 酸化、(5)  二酸化炭素の飲料への溶け込み

はワインやお酒に対敵です。劣化抑制にサーバーや器具を使用される場合は、上記を抑制する能力に加え、その食品に接する部分の異物に対する付着抑制力や抗菌力なども重要な要素です。

 

(1)ブショネ

ブショネは天然のコルクに付着、または混入した細菌とコルク洗浄時に残った塩素の反応によって腐食している状態です。産生される2,4,6-TCAは強いカビ臭を持ち、ごく低濃度でも匂いを感じます。25mプールに2,4,6-TCAを0.005g溶かした場合でも10人中9人が匂いを感じ取ることができるそうです。

コルク栓の外部は過熱や酸などで殺菌されていますが、コルクの熱伝導率は低く、内部に細菌が潜んでいる可能性もあります。また手で触ったコルクやキャップを戻すと手の雑菌が混入します。開栓後に保存する時はコルク栓を戻さず、他の清潔なキャップを使用されることをお勧めします。

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(2)開詮後の細菌混入

清潔な室内でのボトル口径への落下細菌は10分で20個混入します。注ぐ時以外は必ずキャップをしましょう。

一つの菌が室温では1日で数十万個に増えます。そのため開栓したワインは20度未満で保管し、細菌の繁殖を抑える必要があります。

 

(3)保管と温度と飲み頃温度

ワインの保管は低温と振動のない静置保管は非常に重要です。そのため高湿・低温(湿度70%、温度13℃)の地下室で保管されます。開栓後も細菌の混入はあるため低温での静置保管は重要です。(室温放置や冷蔵庫からの頻繁な出し入れは避けましょう)

飲み頃温度は人の好みによります。ただ、『香りの立ちはじめを楽しみ、口腔内の温度差と唾液成分との接触により、粘膜に開く』が理想と考えられます。

それには各飲料ごとの適温空気の交じりが重要ですで各種、最適温度のタイミングで注ぐことはソムリエさんでも容易ではありません。

 

(4)酸化

ワインは特殊な例外を除き、低価格/ 高級にかかわらず、酸化・変色・腐敗の防止のため酸化防止剤(亜硫酸塩)が入っています。国によって酸化防止剤のラベルへの記載義務がありませんので、ラベルのみではその有無は不明です。どちらにしても、大昔から酸化防止成分が入ったものをワインとして飲んでいますので、酸化防止剤が入っていることは当たり前であり、酸化防止剤の表示を見てもご心配なく。逆に雑菌の増殖が抑えられ安心かもしれません。

Oxidized Wine人・鉄・食物など、すべてにおいて酸化は腐る過程であり、食品の酸化は空気に触れた瞬間から始まり、そのスピードは速く、室温で放置すれば、酸化が進み瞬く間に腐ります。

また酸化したアルコールの摂取により発癌性のアセトアルデヒドが生成されるリスクは極めて高いため、できる限り避けたいものです。

ワインの酸化は色や味で見極めは比較的容易ですが、日本酒やウイスキー類の酸化の見極めは難しいので要注意です。

 

(5)二酸化炭素
二酸化炭素は炭素の酸化物で、気体の状態では炭酸ガス、水溶液では炭酸水、固体ではドライアイス、液体では液体二酸化炭素と呼ばれます。

ビール、サイダー、シャンパンなどには炭酸ガスが多く含まれており、発砲にはなくてはならないガスです。しかしながら、ワインやお酒においては酸化ほど影響が知られていないため、たちが悪いかもしれません。

ワインやお酒のボトル内の空気を二酸化炭素で置換すると、酸化は抑制できますが、二酸化炭素は液体に溶けるため、三叉神経を刺激し若干の苦み・酸っぱみが増します。ビールやサイダーの苦みを持った爽快感はこれに起因していますが、他の飲食品にとっては味や風味を変質させる原因のため注意が必要です。

食材をムース状にする調理法に以前は二酸化炭素が使用されていましたが、二酸化炭素は食材に浸透し味を変えてしまうため、2006年4月、亜酸化窒素(N2O)が食品添加物として認可されました。

その検討時の薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会で提示された味覚試験(厚生労働省資料)ではグラフが示すように二酸化炭素を使用すると、食材の味覚は刺激・酸味・苦味が大きく増すという結果でした。

二酸化炭素は窒素の2.7倍の質量があり、単価は安くなりますが、飲食品の味や風味を変えてしまうため使用目的によっては注意が必要です。

実際に水をボトルに入れ、二酸化炭素(炭酸ガス)を充てんすると、あっという間に水は酸味のある微炭酸水になります。ワインの酸化抑制グッズ(キャップやスプレー)の多くは二酸化炭素を利用しているため、ワインへの溶け込みスピードは極めて速く、またそれにより風味が変化し、酸味や苦みが増すことは意識が必要と思います。